八木 満 (やぎ みつる)
慶應義塾大学整形外科助教 八木 満
私が村山医療センターに着任したのはアメリカでの側弯症の留学から戻った2010年秋でした。留学中はニューヨークのHospital for Special Surgeryという病院でDr. Boachieに師事し、側弯症の基礎と応用を学びました。アメリカで学ぶうちに以前にも増して、生まれた祖国で患者さんのために働きたいという思いが強くなり、側弯症の治療のメッカである村山医療センターで勤務させていただくことができるようになりました。村山医療センターではアメリカで学んだことに加えて、側弯症治療の第一人者である、現院長の朝妻孝仁先生や前臨床研究センター長の町田正文先生、元臨床研究センター長の斎藤正史先生や現統括診療部長の谷戸祥之先生に師事し、さまざまな症状に苦しむ側弯症の患者さんの治療に従事しました。
アメリカと日本の側弯症治療における違いに関する私見を述べますと、両国で使うインプラントや手術技術などはほぼ同じであるものの、アメリカの患者さんの方が治療とその効果に対する期待が高く、またリスクを冒してでも積極的に手術を希望する傾向があり、日本人の患者さんは痛みなどのために本当に生活に困らない限り、手術を希望されない傾向があります。両者とも一長一短がありまして、アメリカ人は積極的に手術を希望するため、手術する年齢が比較的若く、健康である場合がやや多いようです。そのため術後の回復もよい傾向がありますが、一方で、特に成人の側弯症が必ずしも進行するわけではないという特性と、手術する場合にはせぼねの大部分を固定しなければならないという特性を考えますと、必ずしも必要でない手術を受け、せぼねの固定のために生活が若くして制限される、という場合もあるようです。
日本人の患者さんの場合には逆にせぼねの変形が深刻になっているものの、年齢がご高齢となりすぎていて、大きな手術に耐えることが難しくなっており、手術方法に関して妥協を強いられるという場合があるようです。ですから、私ども側弯症治療の専門家としては、患者さんそれぞれの側弯がいかに進行するか、どのくらい生活に影響を与える可能性があるか、外科的な治療が必要な場合、その最適な時期と方法がいつであるのかということを把握し、なるべく正確に患者さんにお伝えすることが最も重要であろうと思います。
今は21世紀で医療も年を追うごとに飛躍しています。これからはこれまでのレントゲンや患者さんの診察に加えて、遺伝子検査や最新の医学を医療の現場に導入し、最も側弯症の患者さんに利益がある治療方法を選択することが課題です。わたくしはこのたび慣れ親しんだ故郷のような村山医療センターを離れ、慶應義塾大学病院に異動いたしました。不安ばかりですが、これまで村山医療センターで教わった知識と技術をもとに、大学病院という病院の機能を生かして、少しでも多くの側弯症で苦しむ患者さんの治療に貢献することができればと考えています。
八木先生お疲れ様でした。
今後は大学病院で活躍してください。
村山医療センターでは引き続き側弯症患者さんの治療はがんばります。
側弯症患者さんの診察は予約制となっております。
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許斐医師
毎週木曜日(16時~17時)
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朝妻院長
隔週月曜日
側弯症患者さんの初診時の診察には時間がかかるため予約枠に制限をもうけております。
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