脊椎とは頭蓋を支え、体の支柱となる背骨のことです。脊椎はさらに、骨性のトンネルを形成し、脳から下降してくる太い神経である脊髄を保護しています。脊椎は頭蓋側から頚椎(けいつい)、胸椎、腰椎、仙椎に分けられます。
当院では、全脊椎・脊髄の疾患、外傷を診療の対象としています。当院の脊椎・脊髄を専門としている医師は現在10名です。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会脊椎脊髄病医、日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医の資格を持つ医師がそれぞれ9名、8名、5名おります。
平成26年の脊椎・脊髄手術件数は969件で、内訳は、腰椎椎間板ヘルニア:96件、腰部脊柱管狭窄症(分離、すべり症を含む):274件、頚椎(後縦靭帯骨化症を含む):131件、胸椎(後縦靭帯骨化症、黄色靱帯骨化症を含む): 6件、骨粗鬆症性圧迫骨折:5件、特発性側弯症:38件、後弯症:7件、脊椎カリエス(結核性脊椎炎):7件、脊髄腫瘍:7件、脊椎外傷:24件などです。その他の疾患としては化膿性脊椎炎、脊髄空洞症、脊髄係留症候群、転移性脊椎腫瘍などがあります。
特に、脊椎カリエス、側弯症、脊椎脊髄損傷に関しては、これらの疾患、外傷を受け入れ治療する病院が少ない中、積極的に受け入れ治療を行っています。手術法では、椎弓根スクリューを用いたPLIF(後方経路腰椎椎体間固定)などの後方手術はもちろん、頚椎から仙椎に至る前方固定術などの前方手術も脊椎外傷、椎間板ヘルニア、後縦靭帯骨化症、側弯や脊椎カリエスなどを対象に行っています。
当院の特色の一つに脊髄損傷病棟があります。脊髄損傷患者の初期治療から自立に向けてのリハビリテーション、家屋改造のアドバイスまで、総合的な医療、サービスを提供しています。
当科では豊富な人材を活かし、専門性の高いチーム医療を実践し、積極的に手術を行っていますが、保存的治療をないがしろにせず、保存的治療が無効な例にのみ手術を行うという原則を常に心がけております。