脊髄損傷患者さんの初期治療から自立に向けてのリハビリテーション、
家屋改造のアドバイスまで、総合的な医療、サービスを提供
当センターの診療特色の一つに脊髄損傷専門病棟があります。脊髄損傷患者さんの初期治療から自立に向けてのリハビリテーション、家屋改造のアドバイスまで、総合的な医療、サービスを提供しています。
二つの病棟にそれぞれ40床ずつ、計80床を有しています。急性期の症例を主な対象としていますが、慢性期でも治療の必要な症例は積極的に受け入れています。頚髄損傷や胸髄損傷などの外傷による麻痺の患者さんが多く入院されていますが、重度の後縦靭帯骨化症や脊髄腫瘍などの疾患による麻痺も対象としています。整形外科医が主治医となって患者さんを受け持ちます。破裂骨折や脱臼骨折には手術も積極的に行います。リハビリテーションスタッフは、リハビリテーション医4名、理学療法士25名、作業療法士12名と5名の言語聴覚士がおり、分担して患者さんを受け持ちます。
またリハビリテーション設備も整っており、体重を免荷できるトレッドミルのあるリハビリテーション棟のほかに車いすバスケットのできる体育館なども備えています。
看護スタッフも充実しており、排便や褥瘡の管理には特に気を配っています。急性期の患者さんは、当院で対処不可能な合併症がない限りお引き受けできます。リハビリテーションが目的の患者さんの入院に関しては、円滑にリハビリテーションが行える条件として、意思の疎通が可能なこと、呼吸、嚥下が自立していること、大きな褥瘡がないことを原則としています。
退院された患者さまの中には、パラリンピックで金メダルを取られた方や口筆で絵を描くなど、多くの方に希望と感動を与えていらっしゃる方もいます。
看護師は、突然の出来事に対する戸惑いや葛藤など、多様に揺れ動く患者さんの心によりそいながら、患者さまやご家族を支援することに努めております。受傷直後は、全身状態の管理と合併症の予防と共に、知覚・運動の麻痺域を観察し、日々の変化を見逃さないようにしております。リハビリテーションは、劇的に変化が現れるものではありません。ゆっくりかもしれませんが、患者さんに残された機能を発揮し、毎日リハビリテーションを続けることが日常生活動作の獲得につながります。
「お箸が持てるようになった」「ボタンがはめられるようになった」など、私たち看護師はその出来事を大きな喜びとして、患者さまと一緒にわかち合いたいと思っております。
そして、退院後もその方らしい生活が送れるように医療チーム全員でサポートをしていきます。