当センターでの外科診療は外科一般を行っていますが、専門領域としては消化器外科が中心となります。消化器外科とは食道・胃・小腸・大腸などの消化管と肝臓・胆道・膵臓などの腹部実質臓器の外科的疾患が含まれます。当科では診断から治療までを一貫して行っており、治療方針としてはガイドラインに準じての治療を基本としています。受診する患者さんは地域住民が中心であるため、外科は地域医療に貢献していると考えています。今年度新たに加わった外科スタッフは内視鏡外科を専門領域としており、今後はさらに低侵襲の内視鏡手術に重点を置く方針です。
診療は火曜日から金曜日まで毎日行っており、原則として予約制を取っております。
内視鏡検査は上部内視鏡を月曜日を除く毎日、大腸内視鏡検査は木曜日に行っております。検査は苦痛なく行うことが重要であると考え、少量の静脈麻酔を用いることで患者さんにとってはいつの間にか内視鏡検査が終わってしまった様な感じとのことです。
超音波検査は月曜から金曜日まで毎日実施しております。苦痛もなく手軽に繰り返し施行することが可能であり、消化器疾患においては重要な診断的価値を有しております。
最近、食欲が無い、お腹が痛い、痩せてきた、吐き気がある、便が黒い、便に血が混じっている、体がだるい、尿が濃い、目が黄色い、体が痒い、お腹が張ってきた、便秘が続く、下痢などの症状があれば、一度外科外来を受診することをお勧めいたします。
消化器疾患では胃内視鏡・大腸内視鏡・胆道内視鏡検査・超音波(エコー)検査・CT・MRI・血管造影などの画像診断により的確な診断および治療方針が決定されます。胃・大腸の早期癌では開腹することなく内視鏡で癌病変を切除することが可能である場合が多くなっています。一方進行癌や癌の再発の場合は、最近では遺伝子レベルでの分子生物学的研究成果により癌遺伝子を標的とした有効な薬剤の開発によって化学療法(抗癌剤治療)が格段に進歩し、従来に比較し予後の改善が期待されるようになりました。
胆道系疾患では胆石症は超音波検査で診断が確定し、腹腔鏡下胆嚢摘出術が施行されています。胆管に石が存在する胆管結石症でも内視鏡で胆石を取り除く方法が行われています。
肝疾患に関しては、C型肝炎はインターフェロン・リバビリンの併用治療で肝炎ウイルスを根治することが可能となりました。肝癌に対しては病態に応じてラジオ波焼灼術、肝動脈塞栓術、肝切除など多岐におよぶ治療を行っています。肝癌は再発することが多く、繰り返しの治療が要求されます。
最近の消化器外科領域では低侵襲手術、機能温存手術が主流となってきました。腹部の手術では内視鏡が広く導入され、腹腔鏡を用いた手術では手術後の回復が早く、翌日から歩行が可能となります。消化管運動も早期に回復が認められ食事の開始が早くなりました。ポリープや早期のがんでは内視鏡的に切除し、短期間の入院で治療が完了します。
しかし進行癌の手術では開腹が必要となることも多い。最近は麻酔技術の進歩により、硬膜外チューブより術後も鎮痛剤の持続注入により切開創の疼痛が緩和され、手術の翌日から積極的に動けるようになり、術後腸閉塞等の合併症軽減など周術期管理に貢献していると思います。