骨粗鬆症は『骨の強度の低下によって骨が弱くなりまたは脆(もろ)くなり、骨折の危険性が高まる骨の病気です。』わが国の骨粗鬆症の患者数は年々増加し、2008年には1380万人と推計されており、そのうち女性が約1000万人と7割以上を占めています。骨粗鬆症が問題となるのは骨粗鬆症を背景とする骨折で、脳血管疾患、高齢による衰弱に次いで寝たきりの原因の第3位を占めていることです。
骨粗鬆症では、椎体(背骨)、前腕骨(手首)、大腿骨頚部(脚のつけね)などの骨折が生じやすく、また骨折の受傷原因の多くは転倒であり、転倒対策が必要とされています。なかでも年齢は重要な要素で、高齢とくに80歳以上の骨粗鬆症患者さんでは大腿骨骨折の予防が、70歳までの患者さんでは椎体骨折の予防が重要です。とくに女性の場合は閉経後に骨粗鬆症を発症すると同時に椎体骨折が発生するため、早期の治療が重要です。椎体骨折がある人は他の部位の骨折をきたす頻度が高いため他の部位の骨折予防も重要になります。
骨粗鬆症の治療目的は、骨折の予防であり、そのために骨の健康を保ち、身体の健全な形態と運動性を維持することが必要です。最近、骨折を予防することができる薬も開発され、新しい骨折の予防効果も認められております。また、生活習慣病であります糖尿病、高血圧、高脂血症、ステロイド服用、喫煙、飲酒でも骨粗鬆症を悪化させます。
介護が必要な状態にならないための『介護予防』、健やかに老い、豊かで活気ある老後の生活である『健康長寿』ためにも、一度、整形外科を受診していただき『骨粗鬆症』の有無、程度、対策、骨折予防の指導を受けて戴くことをお勧めいたします。村山医療センターには、骨粗鬆症の専門医がおり、骨粗鬆症外来も行っています。また、骨粗鬆症に対する検査機器も設備されており、最新の医療を行っています。
当センターに設置されているマイクロCTによる椎体(背骨)の画像。
若年者の椎体(背骨):椎体内の縦・横の骨梁(ネットワーク)が多く、強度が強いことが明らかです。
骨粗鬆症の椎体(骨折なし):骨折を起こしておりませんが、縦・横の骨梁(ネットワーク)が若年者に比較し粗になっております。また、一部骨がなくなり、空洞になっております。
骨粗鬆性椎体骨折:椎体の高さが圧縮され、椎体中央部は骨がほとんどなくなっております。