正常の脊柱は前あるいは後ろから見ると、ほぼ真っ直ぐです。この脊柱が横方向に曲がる状態を側弯といい、多くの場合、脊柱自体のねじれを伴います。側弯症が進行しますと側弯変形による心理的ストレスの原因や腰痛や背部痛、肺活量の低下などの呼吸障害、まれに神経障害を伴うことがあります。
側弯症の80%以上は原因不明の特発性(とくはつせい)側弯症で、とくに思春期の女子に多くみられます。一方原因がわかっている側弯症には、先天性の脊柱異常、神経障害や筋肉の病気などによるものがあります。その他に、高齢者に多くみられる変性側弯があります。
側弯症を正確に診断するにはレントゲン検査が必要ですが、立位検査や前屈検査で左右非対称であることからみつけることができます。脊柱の弯曲、肩甲骨の非対称、ウエストラインの非対称、胸椎部や腰椎部の隆起(ハンプ)から診断が可能です。側弯の程度は、レントゲン写真で角度を測定し判断します。
治療は、成長期で側弯が20°~25°以下の側弯症には3~6ヵ月毎の専門医による定期的な診察を受けることが大切です。25°~40°までの側弯症には側弯の進行防止、矯正およびその保持のために装具療法が行われます。装具療法の目的は側弯の進行防止であり、弯曲した脊柱を真っ直ぐな正常にもどすことではありません。装具は骨成熟が終了したら除去しますが、装具終了時に35°以上であると年齢ともに進行し、手術になることがあります。手術目的は側弯の進行の防止と美容上からみた変形の矯正であり、そのほかに腰痛や背部痛の軽減、呼吸機能の悪化防止と改善、神経症状の発生予防と改善などがあげられます。手術を行うかどうかは、年齢、側弯の部位とタイプ、進行程度、背部痛などの症状の有無、基礎疾患や合併症の有無などを考慮し、総合的に決められます。手術は側弯を矯正することと側弯の進行を防止することにあります。手術による合併症には神経麻痺、感染、呼吸器合併症など他にもいろいろありますが、その頻度は決して高くありません。手術方法により異なりますが、手術器具の進歩のより手術後1週以内に装具を装着することなく歩行ができ、2~3週以内に退院となり、翌日から通学も可能となります。運動療法、マッサージやカイロプラクテイクなどの民間療法は矯正効果がなく、その有効性は科学的に確認されておりません。側弯症は専門医による診察、治療が必要です。村山医療センターは側弯症外来があり、伝統的に積極的な治療が行われており、日本のトップレベルの経験と手術件数があり、その結果は国内外の学会で認められております。