村山医療センター 医局秘書
アルーナ
こんにちはアルーナです。
今回は大腿骨頭壊死症についてのレポートです。
あまりなじみのない病名ですが、世の中にはこの病気で悩んでいらっしゃる方もいられます。
当院の清水先生に聞いてみました。
股関節にある大腿骨頭の血流が悪くなることによって、骨頭が壊死する病気です。一度壊死した骨は元には戻らず、壊死した骨が骨折したり骨頭が潰れたりしていくことで、股関節が痛くなったり歩けなくなったりする症状が出ます。
大腿骨頭壊死症の原因は、はっきりしたものはまだわかっていません。ただ、骨頭壊死になるいくつかの危険因子があります。例えば、自己免疫疾患などの治療でステロイド剤(副腎皮質ホルモン薬)の投与を受けた人や、アルコールを毎日多量に飲み続けている方はリスクが高いといわれています。また、股関節の外傷(大腿骨頸部骨折、股関節脱臼など)後の患者さんもリスクがあります。中には、危険因子に全く該当しない方でも発症することもあります。
大腿骨頭壊死症は、壊死が起こってから症状が出るまでに数か月から数年くらい時間がかかることがあります。その多くは、歩き始めや長距離歩いた後の股関節の痛みとして発症します。症状が進行すると、常に股関節が痛くなったり、歩くのが困難になるなど、生活に支障をきたします。また、両側の股関節に症状が出ることもあります。
症状が進行して骨頭が変形していれば、単純X線写真で診断可能です。しかし、骨頭壊死が初期だったり、壊死範囲が小さい場合、X線写真で診断できるほど骨頭が変形していない可能性もあります。その場合、MRIを撮影すると容易に診断可能となります。
骨頭壊死症の治療は保存療法と手術療法の2つがあります。症状が軽度だったり、壊死の範囲が小さく予後が悪くないと判断された場合は、保存的治療で経過を見ることがあります。この場合、体重の維持や減量を指導したり、杖を使用したり、筋力増強訓練を行ったりします。また、消炎鎮痛剤を使用することもあります。保存的治療で症状が改善しなかったり、壊死範囲が広くて保存的治療が困難な場合、手術療法にて根治を目指します。
手術方法は、関節温存手術と人工関節置換術があります。関節温存手術は、種々の骨切り術など自分の骨を温存して骨頭変形の進行を防ぐ方法です。この方法は、比較的年齢が若く、病気がそれほど進行していない患者さんに行われることがあります。一方、人工関節置換術は、変形した骨頭や臼蓋を人工関節に取り換える手術です。骨頭壊死が進行している患者さんに行われます。関節温存手術のデメリットは、治療期間が長いことと、手術をしても骨頭の変形が進行することがあり、その場合、最終的に人工関節置換術を行わざるをえないことが挙げられます。近年、人工関節の治療成績は向上しており、人工関節の耐用年数が長くなるとともに、治療期間は短くなったため、最近では関節温存手術より人工関節置換術を選択することが多くなっています。